ソーシャルワークとは

ソーシャルワークとは何か?
 ここでは、このホームページの名前にもなっている「ソーシャルワーク」とは何なのかについて説明します。
 現在、「社会福祉」という言葉は、いろいろな意味で使われています。ひとつは、「社会福祉」を制度・政策として捉える考え方があります。これは、最近の言葉では社会福祉サービスと呼ばれるものです。具体的には、実際に法律で定められた社会福祉サービスです。、たとえば、在宅老人に対するホームヘルプ・サービスや、デイ・サービス、ショートステイ・サービスがあります。また、特別養護老人ホームや障害者を持つ人が入所したり、通って利用したりする施設もあります。
 もうひとつ、これらの社会福祉サービスを実際に利用者に提供するときに、必要となる社会福祉援助技術を指す場合があります。この場合を、ソーシャルワークといい、日本語では社会福祉援助技術と呼びます。
 社会福祉の分野では、この援助をソーシャルワークといい、援助をする人をソ−シャルワーカーと呼びます。 ソーシャルワークには、大きくは、直接的に人と接して行う援助と、そうではないものに分かれます。また、直接的に人と接して行う援助のうち、個人を対象に行う援助技術をケースワークと呼び、集団を対象に行う援助技術をグループワークと呼びます。以前は、それぞれの技術は分けて考えられていましたが、最近は双方を状況に応じて使うことが要求されています。


 ソーシャルワークと社会福祉に関する図を作ってみました(2005年3月19日)。
 しばらく行方不明になっていた図ですが,ソーシャルワークを視覚的に捉えることができると思います。左の画像をクリックしてください。

 ご覧いただき,ご意見等があればお教えください。
ソーシャルワークの特徴は何か?
 長い間、上記のような説明をしていましたが、あまりにも簡単すぎて良くないと考えていました。また、社会福祉の特徴についての説明が不十分でした。そこで、追加の説明を加えます。

 今日の社会生活を送る上では、さまざまな問題があります。これらの問題を解決するときの方法のひとつがソーシャルワークです。高齢になったり、障害を抱えたりすることにより社会的な活動ができなくなります。これらの問題を解決するときに、ソーシャルワークでは、単に個人の側にの問題があるとは考えません。個人の中の問題と考えるのは、一般に心理学の立場です。また、社会の仕組みに問題があると捉える考え方があります。しかし、ソーシャルワークでは、単に社会の側に問題があるとも考えません。
 では、どのように考えるのかということが重要です。ソーシャルワークの歴史を見ると、先にあげた個人の問題と社会の問題の両方を行きつ戻りつしながら発展してきました。そして、現在では、個人と社会の関係性に注目をするようになっています。つまり、個人の問題と社会の問題は互いに影響をしあっているという考え方です。
 この関係性を、ソーシャルワークでは、「人と状況の相互関連性」、「状況内存在としての人」という表現をします。
 個人の側に焦点を当てた対応法としては、面接を手段としたカウンセリングの技術が用いられます。
 また、さまざまな社会福祉サービスを利用することによって、それまでと同様の生活を続けることができるように、いろいろなサービスを組み合わせていくという方法、介護保険で有名になったケースマネジメントという方法も使います。
 さらに、現在の福祉サービスでは足りない場合には、活動を通じてよりよい制度やサービスを新たに作ることも重要な働きとしてあります。

 高齢者に対するソーシャルワークを例に考えると、次のようになります。
1)高齢者の抱える問題を、面接を通して知り、何が問題なのかをはっきりさせたり、高齢者本人の不満を受け止めたりする。必要に応じて、心の ケアも行う。
2)問題を解決するために、さまざまな社会福祉サービスを活用し、それまでと同様の社会生活を送れるように援助する。どのような社会福祉サービスがあるのかを説明したり、どのように組み合わせていくのかを一緒に考えたりする。また、実際に利用している社会福祉サービスが、効果的に行われているのかについても、本人の側に立ちフォローする。
3)本人のニーズを充足するために不足する社会福祉サービスができるように、活動を通じて作ったり、変えたりする。
緩和ケアとソーシャルワーカー

 私が代表世話人をしている「びんご・生と死を考える会」の会報 第34号に載せた巻頭言です。

 「緩和ケアとソーシャルワーカー」ということで説明しています。
 こちらもご覧ください。

 

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